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伊藤利江インタビュー 「鳥と陶芸」

BIRDS’ WORDSの全ての作品を生み出す陶芸作家・伊藤利江。普段はなかなか表に立たない彼女ですが、大阪のアトリエにて作り出す彼女の作品との向き合い方や想い、そして人となりなどを感じていただけるよう、今回はたくさんの問いを投げかけてみました。

「とにかく手を動かして遊ぶ事が多かったように思います。」

BIRDS’WORDS(以下 BW):陶芸を始めたきっかけはいつ頃ですか?

伊藤:高校受験で陶芸がある学校を受験して、そこで陶芸を専攻して以来大学もずっと続けて陶芸をしています。

BW:陶芸は何年くらい続けているんですか?

伊藤:どれくらいでしょうか…。高校からなので16歳として、もう20年以上ですね。

BW:子供の頃はどのような事をして遊んでいたんですか?

伊藤:とにかく手を動かして遊ぶ事が多かったように思います。例えば紙を切って家を作ってみたり、もちろんちゃんと家の外も作るんですけど中のテーブルとかキッチンとかを紙で作って遊ぶとか。幼稚園の時はそういう遊びをけっこうしてたと思います。

BW:粘土で遊んだりとかは?

伊藤:粘土も油粘土でたくさん遊んでいましたよ。他にも網に毛糸をはわせて絵を描いたりしてました。それが幼稚園の卒業制作で、そこに自転車の車輪をくっつけて、というけっこう芸術っぽいような制作をしましたね。

BW:その後の小学校や中学校でも図工等は好きだったんですか?

伊藤:図工はやっぱり得意で好きな科目だったんですけど、何を作ったなんかの記憶は無くて、中学では美術部にちょっと片足突っ込んだっていうかんじです。高校の受験の時にクラフトの学校があると美術の先生から聞いていたので、そこに受験しました。だからずっと手を動かす事は好きだったんだと思います。

BW:大学に入ってからはどんな作品を作っていたんですか?

伊藤:私が教えていただいていた先生は彫刻の先生が多かったので、わたしも同じように陶立体みたいなのを制作していました。器とかはほとんどつくってないですね。

「空に飛んでいる鳥の群れを見て、これをたくさん作って壁にかけたらおもしろいかなって作ってみた。」

BW:伊藤さんの作品には鳥がモチーフとして多く使われていますよね。

伊藤:ぱっと思いついたのが最初はスケッチからで、鳥にすごく思い入れがあったとかいう事ではないんと思うんですけど、もとから鳥はすごく好きで、小さい頃から飼っていました。ふと思いついてスケッチしたのが鳥で…。それを立体におこして、レリーフなんかにしたら面白いんじゃないかなと思ったんです。

BW:それはいつごろにはじめて作ったんですか?

伊藤:12~3年前くらいですかね。

BW:形のイメージやインスピレーションはそういう身近なものからイメージする事が多いんですか?

伊藤:それもあると思うんですけど、最初はスケッチでいろいろと何を作ろうかと考えていた時に、何を見てというのではなくて…、ぱっとひらめいたというか。あとは空に飛んでいる鳥の群れを見て、これをたくさん作って壁にかけたらおもしろいかなって作ってみたんですけど。そこから、スケッチしたものをきれいな形にしていくのは、いろんな古い資料などを見て、きれいな、柔らかくおおらかなラインが出るように作り出していくんです。

BW:立体に起こす時は何度も作り直したりするんですか?

伊藤:一度原型になるものを作るんですけど、好きな形にしていくまでに、削ったり粘土を盛っていったりしていって、気に入ったラインが出るように仕上げてから石膏型でおこしていきます。

BW:模様なども本とかを見て参考にしたりするんですか?

伊藤:わりと陶芸の本と限定したりしないで、服飾とかテキスタイルだったりとか、あと木工も見ますし、いろんな古い資料などを読みあさったりしています。

「生活の中に置いてもらえるような作品を作りたい。」

BW:ろくろを使って器を作る作家さんも多いですが、型とろくろとではどちらが自分にとって表現しやすいですか?

伊藤:ろくろも嫌いではないんですけど、やっぱり自分の思っている形にもって行きやすいとなると、型の方が自由な形が作れるような気がして、型でする事が多いんです。ろくろをやりだすとろくろもおもしろいなと思うことも多々あります。なかなかやる機会は無いんですけど。

BW:バーズワーズを始めたきっかけは?

伊藤:主人の富岡と結婚して、それを機に始めたんです。それまでは私一人で活動していたんですけど、もっと鳥のモチーフを取り入れて、生活の中に置いてもらえるような作品を作りたいと言う事で始めました。バーズワーズという名前は富岡が考えたんです。

BW:1人でやっていた時と、バーズワーズとして活動してから、なにか変わったことはありますか?

伊藤:やっぱりスタッフに手伝ってもらって制作が出来ているのは助かっている点ではあります。

BW:その分自分で考える時間が増えたりとか?

伊藤:そうですね。その分やっぱり今までやった事がない作業とか、ろくろもですし、例えば波佐見のカップとか、そういった作った事が無いものが出来るようになったので、すごくありがたく思います。

BW:バーズワーズを始める前とは、作るものは変わってきたりしているんですか?

伊藤:そうですねだいぶ変わってきたと思います。バーズワーズとしては、家にも取り入れてもらえるような、気軽に家に飾っていただけるようなもので考えたんです。それからもっと身近に陶を感じてもらえるようなものを作るようになったと思うんですけど、ブローチとか、ヘアゴムとか…。そういう作品が増えたと思います。

BW:バーズワーズの新しい作品を作り出す際には、どれくらいの時間がかかるんですか?

伊藤:けっこうバラバラですね。すぐ思いつく事もあるし、なかなか手が進まないというか…、そういうこともあります。

BW:思い入れや思い出のある作品はありますか?

伊藤:やっぱり一番最初のきっかけになった壁掛の鳥のオブジェですかね。

BW:それをきっかけに知ってもらう事も多くなったり。

伊藤:そうですね。

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「波佐見でカップを作ったのをきっかけに、日常で使ってもらいやすい食器などを他にもいろいろパターンで作って発表していけたら。」

BW:陶器以外にもシルクスクリーンなど、イラストの作品を作り始めたきっかけは?

伊藤:きっかけは私が出産して、産休中に子供の世話をしながら家にいても出来る事ということで。今までに書いてきたスケッチを、作品にするっていう作業をしたのがきっかけですね。

BW:陶器を作るのと、平面の作品を作るのとでは、自分の中ではやっぱり違いますか?

伊藤:そうですね、やっぱりそれまでイラストなどは書いた事が無くて立体のほうだったので、また違う感じですかね。作業の進め方とか。

BW:それでも自分の中でまた違う可能性が生まれたりだとか、やりたい事が生まれたり?

伊藤:そうですね、例えばハンカチが出来たりだとか、そこからいろいろ展開して新しいものが作れると思いますから、面白い作業ではあると思います。でもやっぱり陶器とはちょっと違うので、なかなか手が進まない事もありますね。

BW:これから作ってみたいものはありますか?

伊藤:波佐見でカップを作ったのをきっかけに、日常で使ってもらいやすい食器などを他にもいろいろパターンで作って発表していけたら良いなと思います。

BW:日常生活で大切にしている事はありますか?

伊藤:陶器で言ったら、もう少し陶器で出来る事を考えたり、もっと身近なものが考えられたらと、いろいろ常に思ったりはしているんですけど。今は子供が生まれたので、子供と遊んだりふれあう時間を一番大事にしていますね。

伊藤利江(いとうりえ)

1974年大阪府生まれ。大阪芸術大学大学院修了。
高校時代より陶芸を始め、大阪にアトリエを構える。
国内外での多数の個展、グループ展にて作品を発表。
陶のオーナメントを中心に、おおらかな造形と触れてみたくなるような温もりを持った作品を生み出している。
2009年にディレクターで夫の富岡正直と夫婦で陶磁器ブランド「BIRDS’ WORDS」を立ち上げる。

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INTERVIEW

バーズワーズの工房案内

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2009年、大阪の街中にある小さな工房にて夫婦二人で始まったバーズワーズ。その工房で現在、作家・伊藤利江とともに働く制作スタッフへのインタビュー。

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10年以上前に伊藤がひとつずつハンコを押して作り上げたカップ。そのカップをもとに生まれたPATTERNED CUPを共に作り上げてくださった原型師さんへのインタビュー。

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伊藤利江

鳥と陶芸

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